バスケは身長がすべてではないにしても、身長が重要なスポーツだということは、バスケをやる人も見る人もみんな分かっていることだろう。
だってゴールが3メートル以上の高さにあるんだから。
背でかくてリングに近い人のほうが有利に決まってる。
しかしチビでも活躍するスゴイ選手もいる。
180センチあるかないかというNBAではチビ扱いのアイバーソンは、くそかっこいいクロスオーバーととんでもないジャンプ力を武器に、チャンピオンリングこそ取れなかったものの、得点王やMVPに輝いた最高にかっこいい選手だ。
低身長プレーヤーの中でもっともNBAで活躍したA.I.はかつて「体のサイズでプレーしてるんじゃない、ハートの大きさでプレーしてるんだ」と言った。
アレン・アイバーソンのこの言葉、名言なんだけど、それでもやっぱりバスケは高身長のほうが有利な場面が多い。
だからこそスモールプレイヤーはより一層、ハートの大きさが求められるのだろう。
高身長のほうが低身長より有利な点が、バスケットボールには3つある。
一般的日本人と一般的NBA選手の身長差で比較してみれば、火を見るよりも明らかな低身長のディスアドバンテージが分かる。
①チビはデカのシュートをブロックできない。防ぎようがない。
②チビはデカに守られるとシュートを打つのが大変。ブロックされやすい。
③チビはリバウンドが取れない。そのままダンク叩き込まれたらどうしょうもない。
バスケゴールが305センチの位置にある以上、高身長がアドバンテージで低身長がディスアドバンテージなのは間違いない。
しかし、高身長が有利=欠陥スポーツだろうか?
高身長で活躍している選手は、「自分の才能を生かしてるだけだ」と言うんじゃないだろうか。
バスケをやるうえで背が大きいというのは大きな才能で、でかく生まれたなら、そのでかい才能を生かしてバスケ選手として活躍したいと考えるのは自然なことだ。
体がでかいのは、バスケ選手として生きていくうえで大きな財産となる才能。このことは間違いない。
ただ、どのポジションでも、でかければでかいほどいいというわけではない。
小柄でも活躍できる。それがポイントガードだ。
まあ、NBAだとポイントガードでも190ぐらいを求められる異常な世界だが、ほかのポジションよりは背の高さを求められないポジション、それがポイントガードだ。
しかし、バスケリーグの中には、飛び抜けて大きい、長身ポイントガードがいる。
この記事でも書いたように、熊本ヴォルターズとB1B2入れ替え戦を戦った富山グラウジーズの司令塔、宇都直輝はポイントガードなのにでかい。
長身ポイントガードというのは、はっきり言ってチビポイントガードからすれば目の上のたんこぶだ。でっかいたんこぶだ。
バスケットボールの世界でチビが生きられるのはポイントガードだけなのに、そこにまででかい選手が来たら、チビ選手には居場所がなくなってしまう。
チビPG視点だと、長身PGはあまりにも大きな壁だ。
ポイントガードの仕事は小さいほうが有利だが、バスケットボールというスポーツをやるにはでかいほうが有利で、①ブロック、②シュート、③リバウンドの三つのアドバンテージがある高身長プレイヤーがポイントガードをやるのは、チビPGからすれば厄介極まりない。
高さのアドバンテージがあるからこそ、宇都直輝はBリーグ初のトリプルダブル(一試合で得点もアシストもリバウンドも二桁。11得点、10アシスト、10リバウンド)達成者だ。
大型ポイントガードの宇都直輝は、Bリーグでアシスト力と得点力があることを見せつけている。
それはアシストランキングの首位に立ち、得点ランキングで五位(日本人としては一位)の記録を残していることからも明らかだ。
宇都は、海外のポイントガードに対してもサイズ負けしていない。
ただ、弱点がないわけではない。彼はターンオーバーが多い選手だ。特に代表戦になるとミスが多く、敵にボールを渡してしまう。富樫や篠山のほうが安定している。
それと、宇都は、富樫と違って外のシュートがない。
富樫と篠山と宇都という日本を代表する三人のポイントガードは、それぞれ一長一短で三者三様だ。
バスケは身長が求められるスポーツだけど、その中でも例外的なポジションのポイントガードは、167センチの富樫と191センチの宇都が日本代表のポジション争いをしている、興味深いポジションだ。
日本代表を指揮するアルゼンチンの名将フリオ・ラマスの評価は、身長の低い富樫のほうが高いようだ。