戸川清春はマシン脚‼
井上雄彦の車椅子バスケ漫画『リアル』に、主人公のそんな台詞がある。
主人公の野宮は、車椅子バスケ選手の戸川清春といっしょに、賭けバスケで稼いでいた。
賭けバスケに負けた連中から、車いすが猛スピードで走って来たら怖くてまともにディフェンスできねーよ、と文句を言われたときに、言い返したセリフ。
それが、「戸川清春はマシン脚‼」
「シャックは鋼鉄の巨体を持ってる」
「アイバーソンは全身バネのカタマリ」
「戸川清春はマシン脚‼」
「持ってねえからってヒガむなよ」
「これはこいつの才能だ」
良いセリフだ。名言だ。
シャックの屈強な肉体やアイバーソンのバネと同じように、車いすを使いこなすのも才能だ。
戸川清春はもともと陸上選手だった。
だが、骨肉腫という病によって足を切断し、陸上選手としての夢をあきらめ、やがて車椅子バスケに出会って転向した。
戸川清春と同じように、骨肉腫という病に侵され、車いすバスケに転向した選手がいる。
車いすバスケットボール 髙柗 義伸 たかまつ よしのぶ | 東京2020パラリンピック | NHK
髙柗義伸は、元々は野球少年で、栃木県出身の彼は野球の名門、作新学院に進学していた。
しかし高校二年、骨肉腫で左足を切断。
車いすバスケと出会い、現在大学生ながら、日本代表に選出されるほどの急成長を遂げる。
日体大の先輩でもあり、若きエースの鳥海連志と繰り返した1on1が、彼の実力を日本代表クラスにまで高めたのだという。
鳥海 連志 (ちょうかい れんし)|車いすバスケットボール|選手プロフィル|東京2020オリンピック・パラリンピック|ニュースサイト:時事ドットコム
過去記事でも書いたことだけど、車いすバスケ選手の腕力はすさまじいと思う。
コートを走り回るマシン脚を、腕の力で実現しているのだから。
gorin.jpでパラリンピック見られないのが不満だ。
参考漫画と参考雑誌
他スポーツからバスケに転向した選手は意外と多い。しかも、国の代表まで上がってくる選手が多いことに驚かされる。
日本バスケ界の至宝、八村塁は、バスケを始める前は、陸上競技と野球をやっていた。
中学に入って、↓こういった経緯でバスケットボールに出会った。
八村塁同様、サイズとフィジカルに優れ、今後代表での活躍が期待される選手、シェーファーアヴィ幸樹は、↓この記事でも書いた通り、もともとサッカープレーヤーだった。
八村塁やシェーファー同様、これからの日本代表のインサイドの要となるであろう渡辺飛勇は、バレーボールから転向した選手だ。
バレーボールから転向と言えば、NBAのこの選手を紹介しないわけにはいかない。
NBA現役最強センターは誰か?というお題を出されれば必ず名前が出てくる、カメルーン出身のジョエル・エンビードは、もともとバレーボールプレーヤーだった。
アメリカでは、シーズンごとに、スポーツを掛け持ちする。
秋はアメフト、冬はバスケ(🏀は冬のスポーツ)というように。
だから、バスケ以外でも実力を示していたNBA選手は多い。
代表格はA.I.だろう。
180センチあるかないかというNBA選手としては小柄な身体ながらドラフトで全体一位指名された全身バネのアレン・アイバーソンは、アメフトの世界でも有望な選手だったという。
日本に帰化してくれ3x3の日本代表としても活躍したブラウン アイラは、もともと野球選手だった。
田臥勇太は、3歳から水泳を始め、今でもトレーニングに取り入れているという。
また彼は、フェニックス・サンズ時代にチームメイトだったスティーブ・ナッシュについて、こう語っている。
「サッカーとアイスホッケーの経験があるナッシュは、体幹がものすごく強かったですね」
スティーブ・ナッシュはサッカーの上手さを生かして、スラムダンクコンテストのアシスト役を務めている。
手ではなく、足とヘディングでアシスト↓
転向しバスケ選手として成功しているプレーヤーたちは、経験が無駄にならないことを示している。
バスケ選手として成功するために、バスケだけをがんばればいいのか?
そんな問いかけを聞かされている気がする。